Tuesday 29 January 2013

川の字

日本だと赤ちゃんは親と(特にママと)一緒の布団に寝るのが一般的ですが、イギリスではあまりそんな習慣がありません。NHSのガイドラインでは、生後6ヶ月までは保護者と同じベッドルームでベビーベッドに寝せるのがよいとあります。生後6ヶ月したら赤ちゃんは自分の部屋でベビーベッドに寝るのが一般的みたいです。
添い寝については一定の項目(喫煙者ではない。泥酔していない。など)を守れば問題ないとされています。でも、一般的には「添い寝はよくない」と思われているようです。
添い寝がよくないとされている理由は、「親が寝返りをうったりして赤ちゃんを窒息死させてしまう危険がある」「ベッドから落ちて骨折してしまう可能性がある」「子供が自立しない」「夫婦の生活が守れない」など。
生後間もない赤ちゃんを昼も夜もなく授乳しているお母さんの中には、ベッドで横になったまま授乳していてそのまま寝てしまったり、ソファーで子供を抱いたまま赤ちゃんと一緒にウトウトしてしまったりする人もたくさんいます。そういうお母さんは「ああ、赤ちゃんを危険な目に合わせてしまった!」と罪の意識に苛まされたりもするようです。

日本人の私からすると添い寝をするほうが赤ちゃんが寂しくなくていいと思いますし、赤ちゃんがまだ昼も夜もおっぱいがいる時期などは特に、ママにとってもずっと楽だと思います。
私は添い寝をしませんでしたが、まず夜の授乳の度にベッドから起きるのが面倒くさい。今はベビーベッドなので柵越しに愛彩の顔が見えますが、前はバスケットだったので、愛彩がなにか声を発する度にベッドから起きて顔を確認して「ああよかった寝てる」と思ってまたベッドに戻るということの繰り返し。「添い寝してたら赤ちゃんが寝てる時は一緒に眠れるから楽なのになぁ〜」と多々思いました。
イギリスでは、大人用のベッドの横にくっつけられるベビーベッドが流行っているらしいです。これだと「なんちゃって添い寝」ができます。添い寝ってやっぱりお母さんにとっても便利だからなんでしょうね。

日本で添い寝が普通な大きな理由は、伝統的に床で生活をするからじゃないかと思います。伝統的な日本の家だと、ご飯を食べるのも、寝るのも、オムツを代えるのも、みんな畳の上でやります。イギリスというか西洋の国々では、寝るのはベッド、ご飯はダイニング・テーブルの上、オムツを代えるのはオムツかえ専用の台の上でやります。これ、日本のやり方を知ってる私からいわせると、めんどくさーい!オムツかえ専用の台なんていらなーい!と思います。特に赤ちゃんがよく動くようになると、高いオムツかえ台の上に数秒でも放置すると危険です。なので、最近はオムツかえ用のマットを使って、床の上でオムツをかえています。
欧米のライフスタイルだと大人が床よりも高いところで生活をしているので、赤ちゃんをそれに合わせようとすると転落などいろんなリスクを考えなくてはいけません。
床での生活って、小さい子供がいる家族にとっては便利だったんだなぁーという発見でした。

ちなみに、フランスでは添い寝はせず母乳でなくミルクで育てるので、おしゃぶりが必須という記事を読みました。文化の違いにびっくりしました。日本人の感覚からしてみると薄情な親に思えるかもしれませんが、フランスの子供はマナーがいいと、イギリスやアメリカでは大変評判がいいのです。フランスでは早いうちから子供を大人のルールに合わさせるようにし、大人の生活が子供中心にならないように努力しているのかな?と思います。それがいわゆる躾ということなのかもしれません。
親が子供を思う気持ちも赤ん坊の世話の大変さも世界どこへ行っても同じ。特に子供が小さいうちは子供中心に生活したほうがずっと楽だったりもします。
なので、フランスのママの中にも「添い寝できたら楽なのに〜!」て思う人や、子供が心配で、夜通し子供部屋と自分の部屋を行ったり来たりして眠れない人なんかもいるんじゃないのかなぁと想像します。

フランスでは、夫婦がいつまでも「男と女」であることを重視します。子供がいつまでも添い寝してると夫婦がどうしても「お父さんとお母さん」になってしまうので、そういう意味でも添い寝はしないのかなーと思います。いつまでも魅力的な男・女でいようとする。いつまでもアモーレなときめきを大切にする。そういう努力は見習いたいなと思う私です。

フランスでは子供が「小さい大人」のように扱われるのに対して、現代の日本は子供が長く子供らしくいられるところなのかも...と思いました。そういう日本も、ちょっと前までは12歳で元服、15歳で結婚したりしてたんですよね。子供が子供らしくいられる時間が長いなんて、いいではないか。



Monday 28 January 2013

へその緒ポロリ

今さらですが、11月22日(生後約2週間)にへその緒がポロリと取れました。

生まれた直後へその緒を切った後に、切り口に写真のようなプラスチックのクリップが付けられました。外からばい菌などが入らないようにするためかな?と思われます。
そして、自然にへその緒がポロリとおへそから取れるまで、愛彩のお腹にはへその緒の一部とプラスチックのクリップがぶらんぶらんくっついたままでした。日本ではどうするんでしょう?

イギリスではへその緒を木箱などに入れてとっておくという習慣はありません。
ポロリと取れたへその緒、どうしようか決められず、引き出しにそのままポロンと入れておきました。
引き出しを開ける度に、プラスチックのクリップについた乾いた臓器の一部が見えるのが不気味だったので、結局捨ててしまいました。後悔はありません。
愛彩が成長して「私のへその緒どこにやったの!?」と憤慨することもあるまい。


Saturday 26 January 2013

緑のうんち

いつもよりうんちの回数が多い愛彩。変だな~。いつもより頻繁におっぱいをほしがる愛彩。おかしいな〜。いつもよりお昼寝の時間が長い愛彩。どうしたのかな〜。
と思ってたら真緑のうんちをしていました。
調べてみたら、ウイルスやバクテリアに感染してる可能性があるとのこと。でも熱がなくて元気そうでおっぱい飲んでるなら、自然治癒力で数日で治るから心配いらないとのこと。

「栄養と水分を十分に摂って休息。いらないものは排泄。」
という病気回復の鉄則を実践してたのね。

いつも思うのですが、赤ちゃんは自分の体が必要なものを実に正確に把握してますね。休むべきときに休まずに病気をこじらせたり、運動不足、食べ過ぎ、逆にダイエットなどで栄養不足。などなど、体の声を聞くのが下手なのはむしろ大人の方かもしれません。
体と頭と心がそれぞれ十分に活かされてて、ちゃーんと一体になっている感じ。そこはぜひとも赤ちゃんを見習いたい私です。
私も生まれたころはそうだったはずなのに、いつから難しくなったんでしょうね。

Wednesday 23 January 2013

出産のときのことを

私のお産は23時間かかりました。最終的には帝王切開になってしまったので、難産といえば難産だったのかもしれません。忘れないうちにその日のことを書いておきます。

下の写真は私が泊まったBirth Centreの部屋です。これにバスタブ付きのシャワールームと出産用の特別な椅子が付いてます。iPod用のステレオまでありました。別の部屋には大きな出産用プールが付いています。



まるで5つ星ホテルみたい♡と出産前から夢にまでみたBirth Centreでしたが、出産当日になんとエアコンが壊れてしまい、ものすごく寒くて、今思い返せば自宅出産の方がまだ快適だったかも...と思います。設備としては大変よかったし、助産師さんたちもとても優秀で親切だったんですが...。

私の場合、希望&想像していたお産と実際のお産はぜーんぜん違いました。
希望では「プールで自然分娩。痛み止めも笑気ガスだけ」と思っていましたが、実際はハードな痛み止めのフルコースに助けられての帝王切開でした。

強く希望していた出産用プールは私のお産が難航したため使用できませんでした。激しい陣痛が8時間くらい続きましたが子宮口があまり開かず破水もしなかったので、助産師さんが破水させてくれました。破水した後に陣痛の感覚が1分以下になり、ピークの痛みがずーっと続いている状態に。この状態は助産師さんがペチジンを打ってくれるまで2時間半ほど続いたのですが、あんまり痛くてあまり記憶がありません。記憶をあいまいにすることで体が私を痛みから守ってくれたんだと思います。人体の仕組みってすごいです。
破水して4時間後、子宮口があまり開かなかったので病院に搬送されることになりました。この時点で私はエピジュール(Epidural:硬膜外麻酔)を希望しました。エピジュールが効いてきて痛みから解放されたときの安心感といったら!医学の進歩よありがとう。

お産で痛いといえば、ハリウッドの映画とかだと「ぎぃやぁぁぁぁ〜〜!」とか「F◯UK!」とか叫んでますが、日本人でも「死ぬ〜!」とか「殺して〜!」とか「もうやめる〜!」と叫ぶ人もいるらしいですね。知り合いの日本人男性は苦しむ奥さんの背中をさすってあげたら、バシーっと手を払いのけられ「触らないでっ!」と一括されて死ぬほど怖かったそうです。
私はどうせ叫ぶならなんかいいことを叫ぼうと決めていました。とはいっても「うれしい〜!」とか「すばらしい〜!」ってのもなんか違う気がするので、赤ちゃんもがんばってるんだということに焦点を当てることにしました。
ということで、陣痛がひどくなると「赤ちゃんがんばれ〜!」とか「大丈夫だよ〜!」と声をかけるようにしました。これがけっこう効果的で、大きな声を出すこと、赤ちゃんもがんばってるんだと思い出すこと、の2つが痛みを紛らわせるのにとても役に立ちました。ちなみに私は病院で看護師さんから「東洋人って静かに痛みを我慢するのねぇ〜」と言われました。彼女いわく人種によって叫び声のボリュームが違うらしいです。

病院に搬送されているときに、助産師さんから「シナモンロールありがとう。おいしかったわ」と言われました。なんと、マーティーが私が陣痛をこらえながら焼いたシナモンロール(詳しくは出産の前日に書いてあります)をカンカンに入れて持ってきてくれてて、しかも助産師さんたちに配ってくれていたのです。人間、テンパってる時はいつもしないような行動に出るものです。病院に搬送されていくストレッチャーの上に乗りながら、私はマーティーの手を握って言いました。「シナモンロール、ちゃんと味見した?お砂糖足りなかったかも」マーティーは私の手を握り返して言いました。「味見、しなかったよ。でもきっとおいしかったと思うよ」。もうろうとする意識の中で私は言いました。「助産師さんたちにあげるなら、ちゃんと味見してからにしてって言ったじゃーん!絶対甘みが足りなかった気がする〜」マーティー「大丈夫だって!」以下同じようなやり取りが数分続く...。
今思い出してもシュールな展開だったなぁと思います。

さて、病院に搬送されてお医者さんに診断してもらたところ、Birth Centreから病院に搬送されている間に子宮口がかなり開いたみたいで、そのまま出してしまおうということになりました。お医者さんに「もう9cmくらい開いてるよ。もうちょっとだよ。頭もちゃんと降りてるし。今赤ちゃんの頭をつかんでるけどわかる?」と言われました。おおおお〜!頭がつかめるとは!
「もうすぐ赤ちゃんに会える〜!」と思っていたものつかの間、赤ちゃんの心拍数が下がり、下がったと思ったら急に上がったと伝えられました。その後1分も経たないうちに病室にいきなりいろんな人が10人くらいワラワラ入ってきました。
「申し訳ありませんが、赤ちゃんの心拍数が心配なので緊急で帝王切開をします」と言われ、あれよあれよという間に手術室へ。手術が私から見えないようにブルーのシートで下半身を隠されて、あれよあれよという間に切開され、切開後、私たちに赤ちゃんが見えるように赤ちゃんをシートの上まで持ち上げてくれました。
愛彩を初めて見たとき、私とマーティーは声をそろえて言いました。
「So cute! (かーわいぃー!)」
本当に声がピッタリそろいました。それが愛彩の第一印象でした。

映画なんかだと、この後すぐに裸ん坊の赤ちゃんがお母さんの胸に抱かれますが、帝王切開で切って赤ちゃんを出したら、縫わないといけないんですよね。ということで、私のお腹をチクチク縫ったり愛彩をきれいにしたりしている間、20分くらい、まだかなぁーと思いながらマーティーとぼーっとたわいもないことを話して待っていたのを覚えています。
やっと愛彩を胸に抱いた時、軽くてあったかくて小さくて、そしてやっぱりとってもかわいくて。やっと会えた〜。嬉しいなぁ〜。幸せだなぁ〜。と思いました。


「本当にこれが私のお腹の中にいたの?」という実感のなさは解消されることはありませんでした。
帝王切開だったからかもしれませんが、お産の直後はまだまだお腹が妊娠6ヶ月くらい大きかったです。
「こんな大きなものが出たのに、どうして私のお腹は大きいままなの?」と不思議でした。

Monday 14 January 2013

赤ちゃんという生き物

ほんの数週間前まで、愛彩が欲しいものといえばおっぱい、おっぱい、またおっぱいでした。愛彩は生まれつき泣き虫ではなくおしゃべりなようで、愛彩がおっぱいが欲しい時は泣かなくても顔を見ればすぐにわかりました。乳首を探して目はキョロキョロ。手足をバタバタさせてちょっと挙動不審ぎみ。口を池の鯉のようにパクパク。
おっぱいをやろうと抱き寄せて乳首を近づけると、さらに挙動不振になって、「池の鯉」の口をやりながら右に左にヘッドバンギング。
「だ〜か〜ら〜!乳首ここ!ここにあるでしょ?なんで反対方向を向くんですか?」と言いつつふくませると、「あった〜!!!!」と砂漠のオアシスの水を発見したかのようにゴクゴク。もうその様子は「ここ3日も水一滴飲んでねぇですだ〜。ありがてぇ〜。涙がでます。」と言ってる飢えた水飲み百姓のようでした。そして授乳しながら眠りかけている愛彩を乳首から離そうとすると、「ぜぇぇえーったい離すもんか〜!!」とばかりに目は半分しか開いてなくても必死に吸い付いてきました。これはもう、毎回そうでした。ついさっき授乳したのに?というタイミングでもそうでした。
マーティーいわく、「例えばさ、今まで授乳と授乳の間が最長1時間だったとして、今回が1時間10分だったら、『こんなに長いこと食べ物にありつけなかったのは生まれて初めてだ!』て思うんじゃない?実際そうだし」と。なるほど。

最近はおっぱい以外のことにも興味を覚え始めたようで、まだお腹がいっぱいになっていないのにお乳を飲むのを止めてキョロキョロし始めます。週末のランチにお友達とおしゃべりをしながらダラダラ食べている感じ。愛彩が「ちょっとブレイクしよ♡」と飲むのを止めた時に授乳終了と勘違いしてしまうと、愛彩は一日中ちゃんとご飯を食べずに間食ばかりしている状態になってしまうので、「はい、ブレイクしましたね?また飲んでください」とブレイクをはさみながらお腹がいっぱいになるまでお乳を飲ませるようにしています。お腹がいっぱいになってくると、愛彩の顔は酔っぱらいのおっさんのようになっていきます。さっきまでパッツパツだった頬の肉が、たれパンダのようにダラーンとなっていくのを見て、「このほっぺの肉は脂肪じゃなくて筋肉だったのか!」という衝撃を受けます。

愛彩の一挙一動に萌え、もだえ、感動・関心を繰り返すのは今も変わりません。それはマーティーも同じで、大きいウンチをした時などに、目を見つめ合い、手を取り合って喜んでいる、目を覆いたくなるようなバカップルです。
こういう気持ちは「親バカ」だからだと思っていたのですが、100パーセントそうでもないかもしれないと思えてきました。
赤ん坊は一人では生きていけないので、弱いと思われがちな生き物ですが、その生命力の強さと成長の早さは大人の何十倍、何百倍かもしれません。脳、内蔵のひとつひとつ、睫毛の一本一本に至まで、毎分毎秒ものすごい早さで成長しています。

幸福は道でも喜びでもなく、このことでもあのことでもなく、たんに成長である。
私達は成長している時こそ、幸福なのである。
ウィリアム・バトラー・イェイツ

愛彩は満面の笑顔で手脚をバタバタさせているのをみると、体中が「幸せそうだな〜」と思います。そして、実際本当に幸せなのだと思います。毎日が新しい発見でいっぱい。おっぱいを飲むのも、ウンチをするのも、遊ぶのも、眠るのも100パーセント全力投球。どんどん成長していく自分。こんなに充実した人生があろうかと思います。
抱いた時の体の重み。暖かさ。ミルクみたいなにおい。笑っている顔。真剣な顔。おしっこしている時のとぼけた顔。おっさんみたいな顔。手の動き。ぷくぷくのお尻や太もも。
マーティーと私がそんな愛彩にメロメロな理由のひとつは、赤ん坊の日々成長していく姿が本当に感動に値するものだからかもしれません。
愛彩がこんなに小さいのも今だけ。いつか終わるのを前提に盛り上がっている恋愛中のような切なさがあります(そんな恋愛をしたことはないんですけど)。順調に成長しているのが嬉しい反面、「大人にならないで〜」と思ってしまう自分もいます。困ったもんだ。




Saturday 12 January 2013

世にも奇妙なママ・ワールド

例えば、「うちの子は寝付きが悪くて本当に苦労しているの。毎晩15分くらい車でドライブして寝かしつけてるのよ。」なんて言っているママがいると、「大変ですねぇ〜」と口で言いつつ、密かに「それは赤ちゃんのせいじゃなくて、自分がちゃんとトレーニングしなかったからじゃん...」とか思っている自分がいるわけです。
もともとガリ勉タイプで著しく育児オタク化している私は、育児本に書いてあった通りに「独り寝トレーニング」を愚直に数週間かけて行いました。「独り寝トレーニング」とは、赤ちゃんがベビーベッドで一人で眠れるようになるようにするトレーニングで、腕の中でスヤスヤ眠りかけている赤ちゃんをあえて眠りきる前にベッドに寝かせ、ベビーベッドの中で眠りに落ちるようにしむけるというもの。腕の中で寝かしつけている最中に「あぁ〜、眠りそう、っていうかこのまま寝てくれ〜!」と思っているところであえてベビーベッドに寝かせるので、赤ちゃんがバッチリ起きてしまうことも多く、また寝かしつけやり直しになります。それを赤ちゃんが眠るまで数回やり直すわけです。自分が疲れきっている時や赤ちゃんの睡眠を優先させた方がいいときを除いて、毎回寝かしつけの度にこのトレーニングをやります。最終的に赤ちゃんがちゃんと一人で眠れるようになるまでこのプロセスを数週間かけて100回くらい繰り返します。最近、愛彩は眠くなると、ベッドに一人で寝かせるだけで一人で眠れるようになりました。初めて独り寝に成功した時は、世界の中心で「愛彩が独り寝できるようになったよー!!」と叫びたい気持ちにかられました。
「車でドライブして寝かしつける」というのは、育児本に「多数の親がやってしまう間違い」として載っていたもの。そのリアル・ママに会ってしまい「いたよ、ここに!悪い見本!」とこっそり思ってしまったわけです。

要するに「うちの子がこ〜んなに優秀なのは、私の努力の賜物ザマすのよ。おほほほ。」って言いたいせせこましい育児オタクの自分がいるわけです。そんなせせこましい意地悪な自分になるくらいだったら、最初から育児本なんて読まずに努力なんてしないようがよほど感じがよいでしょう。

「なんでもかんでも、赤ちゃんのせいにするママって、どうかと思うんだよね。赤ちゃんじゃなくてアンタの育児のやり方のせいじゃないの?って意地悪だと分かってても心の中で思っちゃうんだよね」とマーティーにこぼしたところ、
「もしかしたらまり子の言う通り育児のやり方が悪いのかもしれないし、もしかしたら本当に赤ちゃんが100パーセント悪いのかもしれない。もしかしたら半分半分かもしれない。でも、よその家の事情は自分たちには何にもわかんないんだから、批判するのは意地悪だし無意味だと思うよ」とド正論を言われてしまいました。
マーティーったらやっぱり私の王子様。ちょっぴり惚れ直しモーメント。

狭いママ・ワールドに頭のてっぺんから爪先までつかっていると、自分の子が独り寝できたかとか、授乳に何分かかるとか、ものすごーく小さなことが重大に思えてきてしまいます。ロンドンで出会うママ達の多くは家族から遠く離れていて、みんなママ一人に対する大きなプレッシャーと奮闘しています。なので、みんなフレンドリーで協力的。お互いに助け合い、励まし合っています。ゲップの音を喜び合い、ウンコの音に笑い合い、スリングやオムツの銘柄の話で盛り上がります。そんなママ達の一人でも、こっそり批判しているなんて、腹黒いことこの上ない自分なのです。

別に独り寝トレーニングができていようができていまいが、10年後にはきっと普通の子供に育っているわけです。貧乏な家に育ったから成功したという人もいれば、裕福な家にそだって順調にエリートになる人もいる。天才モーツァルトは想像を絶するスパルタ教育を受けたと聞きますし、テレビ女優第一号の黒柳徹子の父親は女優になるなんてみっともないと思っていたそうです。モンゴルの一部の地域では、赤ん坊を縄でグルグル巻きにして地面にほおっておいて農業に励むらしいですし、アフリカのある地域では新生児にも火やナイフを遠ざけたりせず火傷や怪我をさせて学ばせるそうです。そういう赤ちゃんもきっとその地域で生きる知恵をちゃんと身につけて立派に育っていくのでしょう。子育てに正解なんてないのだから、よその人の育児法にケチをつけるなんてけつの穴の小さい事この上ない自分なのです。

子供は親の成績表じゃないし、親の努力が子供の幸せを保障するわけじゃありません。よそと比べたところで、自分や自分の家族がより幸せになったりすることもありません。
愛彩が健康で幸せそうなら本当に幸運なこと。よその家族を心の中で批判したり、比較するのは絶対にやめようと思いました。

まだまだ子供に手がかかるうちは、子育て以外のことをしたり考えたりする余裕があまりありません。でも、授乳中にインターネットでニュースをチェックするとか、お散歩中にポッドキャストで本を読むとか、愛彩を連れてアートギャラリーに行ってみるとか、ママ友以外の友達と会って赤ちゃん以外の話をするとか、頭が100パーセント育児にならないように気をつけようと思いました。
私の育児オタク化は、性分なので残念ながら避けられそうにありませんし、ネタがなんにせよなにかにハマるのはそんなに悪い事ではないかもしれません。でも、「それだけ」になるのがバランスが悪くて不健康なのだと思います。
愛彩のウンチの色よりも重要なことがこの世にはある!と認識しておくことが大切ですね。

ちょっぴり惚れ直しモーメントを提供してくれた今回のマーティーですが、「愛彩ってさ、他の赤ちゃんよりも断トツでかわいいよね。○○さんとこの××ちゃんなんて、めっちゃブサイクでかわいそうだよね」と思いっきりよその子と愛彩を比較してよその子を批判してますけどね。




Friday 11 January 2013

おしゃぶり論争

おしゃぶり。こんなに熱い論争が繰り広げられてる代物だとは知りませんでした。ググってみたら英語圏でも日本語圏でも大変な数の意見であふれています。すごーく反対派は「おしゃぶりは口封じ。赤ちゃんがかわいそう!」などと言い、すごーく賛成派は「指しゃぶり防止にもなって歯並びや鼻呼吸にいい!」とゆずらず。Google様には日々大変お世話になっておりますが、ググる時には感情的な意見にはあまり左右されないように気をつけ、比較的信頼のおけるところから発信されている科学的な根拠のある(ありそうな)記事を探して参考にするようにしています。
が、フォーラムなどでの感情的なママ同士の対立とか読んでいると、臨場感にあふれて大変興味深いです。みんな必死なんだなあ。

ちなみに、NHSのウェブサイトでは「母乳で育てている場合は、赤ちゃんが乳首と混乱して授乳がうまくいかなくなる可能性があるので、最初の4週間は使用しないようにしましょう。使用する場合は6ヶ月〜12ヶ月の間に使用を止めるようにしましょう」とあります。
ママ会なんかでも使ってる人と使ってない人といますが、平均的な意見は「使わないにこしたこたぁないけど、使ったほうがママと赤ちゃんにいいんだったら使えばいいさ。」みたいなところで落ち着いている気がします。使用者も多数。日本ではもっと反対はが多い印象を受けますが、実際のところどうなんでしょう?

マーティーがおしゃぶりで育っているので私は別におしゃぶり反対派じゃなかったのですが、生後6週間くらいまでは泣いたら抱っこするかおっぱいあげればよかったので必要性を感じなくて使っていませんでした。
そしてクリスマスの日。友人二人と私たち親子三人で、延々と食べて飲んで映画などを見ながらまったりと過ごしていたら、愛彩が例の深夜の酔っぱらい状態に。ずーっと泣いてるんだったら「病気か怪我か?」という可能性も考えましたが、泣いたかと思ったら笑い、笑ったかと思えばウ◯コ、そしてまた泣く...の繰り返し。おっぱいほしそうな顔をしてるのであげてみたら、3秒くらいで「俺が求めてるのはこれじゃねぇ!」とばかりにギャン泣き。それまではおっぱいが解決できない問題なんてなかったのに...と少なからずショックでした。
そこで、前に人からもらって使っていなかったおしゃぶりを与えてみたら。あらあらあら。ピターッと泣き止んですごい勢いでおしゃぶりをもぐもぐ。ずーっともぐもぐ。なんかの中毒患者を彷彿とさせるもぐもぐぶりに、ここでも母ショック。こんなに効果的だったとはーっ!(個人差あります)魔法の道具。ああ、でも危険な香りがプンプン。愛彩よりも私が中毒になりそうです。便利すぎて。

それからというもの、おしゃぶり使っております。といっても諸手を上げて賛成派というわけではなく、個人的には常用はしたくないなと思っています。理由はざっくり3つ。使用中は愛彩とのコミュニケーションがとりにくくなる、歯やあごへの影響が気になる(永久歯が生える前の使用なら心配しなくていいとNHSのウェブサイトにはありますが)、常用する必要性を感じない、といったところです。あ、もちろん、癖にならないようにしたいというのも大きな理由のひとつです。
愛彩がおっぱいで解決できないほど泣いて、あやしてもなかなか泣き止まない時にとりあえず落ち着かせる時や、電車の中などで大きい声でグズッたり泣き始めたりする時などに使っています。
上手に使えばこんなに便利なものはないと思うのですが、一部の人からは後ろ指をさされる道具のようですね〜。私も人が見てる前で使用している時は、なんとなーくうしろめたいような、世間体が悪いような気がしてしまいます。
マーティーみたいに、赤ちゃんのころおしゃぶりを常用してたけど普通の大人に育った人も大勢いると思うので、結局どっちでもいいのかも...とも思いますが。

それから、おしゃぶりは指しゃぶりの防止になるという人もいるようですが、愛彩は最近指しゃぶりをするようになったので、おしゃぶりの使用・不使用は指しゃぶりにはあんまり関係ないのかな?と思います。指しゃぶりも「癖になるからよくない」とする人もいるようですが、「生後間もないころの指しゃぶりは発達してきた証拠。大抵の赤ちゃんが自然にやめるようになるので心配ない」という説を信用しています。今まで自分に手があることも知らなかった愛彩が、指をなめて自分で自分を落ち着かせることができるようになったなんて感慨深いです。





Tuesday 8 January 2013

新米ママの気になるあの人

明けましておめでとうございます。
出産の時のことを書きたいとずーっと思っていますが、また後で...。ここ一ヶ月ほど、ブログを書く時間と心の余裕がなくて、気がつけば新年になっておりました。マーティーと私の結婚記念日は1月3日でしたが、私たち両方ともマーティーママにメールで「ごめんなさい、今日は結婚記念日だったわね。忘れてた」と言われるまで忘れていました。はは。

おっぱい飲んでいるか寝ているだけだった愛彩(漢字、愛彩に決定しました〜!)は、ママやパパやいろんな人と遊ぶということを覚えました。起きた瞬間、目をみてニコーっとされるともうたまらんです。彼女の欲しいものといえばおっぱい一辺倒だったのが、「眠いけどまだ遊びたい」という高度な欲求を覚えたので、おっぱいさえあげれば大丈夫な時期は過ぎました。

お昼寝が足りなかったり、本人が興奮しすぎていたりして、夕方にグズグズになることもしばしば。おっぱいを飲んでも、オムツを代えても、あやしても、寝かしつけても、ずーっとグズってなかなか眠りません。手を思いっきりなめなめしているので「おっぱいかな?」と思ってあげたら、ニポーを前に例のヘビメタ頭が始まったり。急ににこーっとアイドルのような笑顔を振りまいたと思えば、焦燥感いっぱいの顔で手足をバタバタさせたり、急に泣き出したり。その様子はまさに深夜の酔っぱらい。陽気に歌ってたと思ったら隣のオネエちゃんにクダをまき、「みんなサイコーだぜっ!」とか叫んでたのに「俺なんてよぉ〜」と泣き出すような、アナタもきっと見たとこがあるあの酔っぱらいです。

そういうループにハマると、新米ママの私はありとあらゆることを試します。おっぱいあげてオムツをチェックするのは当たり前ですが、抱っこして歌を歌ったり、とりあえず横にしてお腹をさすってあげたり、バウンサーに乗せたり、車の音を聞かせたり(iPhoneのアプリに赤ちゃんが落ち着く音を集めたやつがあるのでそれを使用)。
お腹空いてるのかしら?から始まり、暑すぎるかな?寒すぎるかな?今日着せた新しい服が変にお腹を圧迫してるのかな?3時間はお昼寝させたほうがいいのに今日は2時間しかしてないから?午後に飲んだコーヒーのせい?もしかして不眠症?などとどんどん深みにハマっていく私。

そのハマりようと間違った方向へのがんばり具合は、ああ、まるで10代のころの恋愛。寝ても覚めても考えるのは「あの人」のことばかり。
あの人に「バイトが夜9時に終わるからその後連絡するよ」と言われれば、夜8時頃から携帯電話を一分おきにチェック。たまたまバイトが長引いてしまって11時頃まで電話がなかったりするともう大変。
どうして電話がないのかな?本当は私のこと好きじゃないの?他に気になる人ができたの?私のなにが悪かったのかしら?もしかして日曜日に着てた紫のスカートがマズかった?お昼に特大ハンバーグ定食平らげたのがいけなかったの?などとグルグル間違った方向に暴走。
「あの人」のバイトが終わり、「ごめんねー遅くなって」なんて電話をしようと携帯を手に取ってみたらなんと着信12回にメールが7件。最後のメールには「もういいわ。別れましょう」なんて書いてある。「っていうか、まだつき合ってもないし..。」と彼はドン引き。はかない恋のジ・エンド...。ちーん。
(たとえ話ですよー。)

新米ママにとっての「あの人」は我が子。寝ても覚めても自分のベイビーのことを考えてしまうのは、もう自然の摂理に操られているんだからしょうがない。でも、強がりでも「私だって忙しいのよ」というそぶりを見せたほうがいいのかもしれないと思う今日この頃。愛彩が泣こうものなら0.01秒でダッシュしてあやす私。寝起きでちょっとぐずってるだけなのに、「今までこんなことなかったのに!」と超心配。前回の授乳の時にゲップさせそこねたから?もしかしておっぱい足りてない?もしかしてベビーベッドにダニがいたりして!?と健康を絵に描いたような我が子を前にパニックに。そこに問題はないのに自ら問題を作り出すという愚行。とほほ。

恋人でも赤ちゃんでも、どんな人間関係も「あの人だけ!」になってしまうとやっぱり不健康かなと思います。自分にとっても相手にとってもきっとよくない。新米ママがきゃわいすぎる我が子に「私だって忙しいのよ」という演技をするのは至難の技なので、私の場合は本当に忙しくすることで解決しました(たぶん)。もう体も十分に回復したので、家事をしたり、ママ会に積極的に参加したり、外に散歩にでかけたり。
特に他の人と会う約束をすると、全てが愛彩中心というわけにはいかず、いい具合に予定が狂うので私にとってもいい訓練になります。愛彩がこんなに小さいのも今のうちだけ。たくさん愛情をかけて、いっぱい一緒に遊んで、でも自分の時間も上手に作りながら、楽しく大切にすごしたいです。