Sunday 9 December 2012

出産の前日

今更ですが出産の時のことを。「ああ、今日生まれるかも」と思ってから出産するまでを記録に残しておきたかったので、出産の前日にずっとブログを書いていました。以下、そのときに書いていたものをそのまま載せます。

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その日も、夜中に目が覚めました。なんだか生理痛のような痛みがあったので、リビングのソファーでゴロゴロとテレビを見ていてもなんだか落ち着かない感じ。マーティーが起きてくる頃には結構激しい前駆陣痛が。
「大丈夫?会社休んでもいいよ」と言ってくれましたが、前回の例(前駆陣痛が激しくて生まれるかも〜と思ったら空振りだったこと)もあるので出社してもらいました。
なぜか無性にお菓子が作りたくなってホットケーキを焼きました。
「本当はパンが作りたいけど、イーストを発酵させているうちに本格的な陣痛が始まったら生地が無駄になっちゃうのでやめる」と痛いお腹を押さえながらマーティーに訴えると「相変わらずアホだなー」と笑って出社していきました。
昔からお菓子作りは好きでしたが、ロンドンに来てから(特にここ数ヶ月)パン作りにハマり、休日は良くパンを焼くようになりました。
んで、夜眠れない時とかちょっとストレスが溜まっている時とか、無性にパン生地がこねたくなります。

前駆陣痛が治まっても生理痛みたいな痛みは残り、何もする気が起きず、テレビを観る気もせずにソファーでゴロゴロしながらKindleアプリで漫画を読みました。孤独のグルメの一巻とのだめカンタービレの1-5巻を一気読み。孤独のグルメものだめもおいしいご飯が出て来るので、お腹が減ってないのにおにぎりが無性に食べたくなって、おにぎり2個完食。もちろんホットケーキも完食。我慢しきれなくてのだめの6巻のKindle版を購入して読み、全巻大人買いしたいところを押さえて(というか事情があって大人買いできず)ふて寝。

ふて寝してる間に友人二人から「調子どう?」とメールが。いろんな人に心配してもらったり応援してもらったりして本当にありがたい。私も逆の立場だったらこういう優しい友人でいたいと思います。
起きた後も生理痛みたいなのはひかなくて、やっぱりパンを焼くことに。カモメ食堂を観て以来、なにかというとシナモンロールが焼きたくなる私。シナモンロールを焼くことにしました。
のだめの千秋様が演奏したラフマニノフの協奏曲を聞きながら(ミーハーだ)ひたすらパンをこねる私。ラフマニノフ、さすがロシア人だけあってドラマチックだなーとか思いつつ。パンをこねている間は痛みも軽減される感じです。生地の性質がだんだん変わっていくところも、生地の感触も大好きでなんとも癒されます。20分くらいゆっくりこねたところで生地を寝かせます。一時発酵した後の生地がさらにふかふかで気持ちいいんですよねー。イーストの匂いもたまらん。
生地を休ませている間に夕ご飯も作りました。ミートボール入りのパスタソースです。お気に入りのキッチンでお気に入りの鍋とかで、おいしい材料を使って料理するのはなんとも贅沢だなーと感じます。時々、イテテテテとかなりながら作りました。
このイテテテテが定期的になってきたので時間を測ることに。iPhoneのアプリを使って測りました。陣痛を測るアプリまであるとは本当に最近のアプリって便利です。

そうこうしているうちに「おしるし」が!マーティーにメールで「今夜かもよ〜」と軽いタッチで伝えます。痛みの間にバジルとか刻む私。そのほうが落ち着くので。落ち着かなくて陣痛の間に料理をしちゃう出産前の妊婦ってどのくらいいるのかなーと思います。
マーティー帰宅。本格的に痛い陣痛が始まりました。
じっとしてるより動き回っていたほうが気が紛れるので、陣痛の合間にシナモンロールの続きをやりました。
二次発酵もうまくいってオーブンに入れようとしたところで5分くらい長い陣痛が。Birth Centreにマーティーに電話してもらうと、「おそらくEarly labourなので、3分毎に陣痛がくるようになったら来てください。軽い食事を取ってください」と言われました。
「この状態で食事するのかー」と驚きつつも陣痛と陣痛の間にパスタを食べ、シナモンロールも上手に焼けました。

次回に続きます

Wednesday 5 December 2012

親バカ

アイサを授乳をする時、恋のキューピッドに胸を矢でいられ、脳天に雷が落ちたような衝撃を受け、「ああああぁぁぁぁ〜!!なんってかわいいのぉぉ〜!大好きぃぃぃ〜!!!」と床を転がって身悶えしながら叫びたい気持ちになります(←授乳中なのでしませんが)。授乳毎にドラマチックなフォーリンラブ。そんな気持ちに毎回メロメロになりつつも、「絶対これは脳内でなんか変な物質が出てるよな〜」と思っていました。

そんな話を妊娠中の友人に話してみたら、そのステキな脳内物質は Oxytocin(オキシトシン)と呼ばれていて、授乳中に分泌されると母子のをより強いものにする効用があるらしいです。Oxytocin は陣痛を促したり、産後の子宮収縮を促したり、痛み止めとして活躍したりと大変パワフルな脳内物質。人工的に似たような薬物が作られていて、強い痛み止めとしても使用されているのだとか。もんのすごく中毒性が強いらしいです(とっても納得!)。こんなステキな脳内物質が出ているからこそ、毎日昼も夜もなく繰り返される授乳という作業を母親もマジメにこなすのですね。自然の摂理ってすごいです。そんな摂理に操られまくっている単純な自分もすごいなぁ。
このステキな Oxytocin、大変微量ですが鼻からスプレーで接種できるようにしたものも市販されているらしいです。なんでも父親と子供のを強めるのにお父さんが使うものらしいです。
んなアホな、と思ってググってみたら普通にAmazonで売ってありました。
そして、その話をマーティーに冗談でしてみたら、「ああ、試したことあるよ」て言われました。

は?

「昔の職場のみんなで通販で買って試したことがある」とマーティー。
若い野郎ども4人にアルバイトの女性1人という小さい職場のメンバーで、どんな会話がかわされ、なにがどうなってOxytocinを鼻から接種する運びになったのかはわかりませんが、とにかくみんなで試してみたと。結果は「なーんにも効果がなかった。残念だった。」らしいです。当時は絆を深めるような子供もいなかったしね。
そんなスプレーがあること自体びっくりでしたが、まさか自分の夫が数年前に試していたとは...。人生は奇想天外です。いや、奇想天外なのはマーティーか。

幸運なことに、マーティーに Oxytocin は不要だったようで、アイサの顔を見るたびに「So cute〜!(かーわいい〜!)」と身悶えしています。
「アイサってさ、他の赤ちゃんよりぜったいかわいいよね」←親バカ度100%
「自分の子供だからこんなにかわいいのかな。それとも客観的にみてやっぱりこんなにかわいいのかな。」←親バカ度120%
「アイサを見に来た友達もみんな、めっちゃかわいいって言ってるよね。社交辞令で言ってるのかなぁー。やっぱり客観的にアイサは特別かわいいから言ってるのかな。」←親バカ度200%
などとのたまっております。友達の子供を見に来て「かわいくない」なんて言う人はおらんがな。

そういう私も、「こんなかわいい子が私の子のはずないよなー。遺伝子マジック?」なんて常々思っています。実際に、ルックスは十人並みだけど人種が違う夫婦で、子供がめちゃめちゃかわいいという例も見ております(すみません)。
「多少ぶさいくでおバカでも、健康でハッピーな子供だったらいいと思っていましたが、健康でハッピーなだけでなく、顔もかわいくて賢い子供を授かった私はどうすればいいんですか、神様!」と困っています。←親バカ度300%

マーティーママが調べたところ、Isa という名前はヘブライ語で「神様の贈り物」という意味があるそうです(他の諸説も多数あります)。なんだか本当にそうだなと思います。大事に育てよう。





Saturday 1 December 2012

おっぱいの話3

アイサは手のかからない良い子だなーなんて言っていましたが、ついにやってきました、眠れない日々が...。
私がバイブルのように読んでいる本「Your Baby Week by Week」によると、生後2週間を過ぎたころ、赤ちゃんの急成長期がやってきて、おっぱいをいつもより多く欲しがりママが出せる量よりもたくさん飲みたがる(こともある)とのこと。この成長期は大抵2-3日でママのおっぱいの量が増えるころには治まるそうです。
いやなんか、この本に操られてる!?と思うほど的確にアイサもハングリー期に突入。おっぱいを飲ませても飲ませてもすぐ起きて「もっと〜」とせがまれ、その間にウンチもおしっこもいつもよりたくさん出し(そりゃそうだ)、一息ついたところでまた「もっと〜」が始まり...。
今までは授乳と授乳の間は起きてても寝ててもハッピーだったのが、「うぅぅぅー、うはっ!」とか「ひっひっひぃー」とか、ウンチを出そうとしてるのか、げっぷが出そうで気持ち悪いと訴えてるのか、もうすでにお腹が減ったと言っているのか、本人もおそらく把握していないような声で四六時中ぐずるようになりました。
(ちなみに、この本にも「赤ちゃんはいろいろな体の感覚の識別がまだつかないので、消化している感覚を不快だと勘違いしたり、いろいろな感覚に驚いたりして、泣いたりぐずったりすることがあります」と書いてあります)

アイサの声にすっかりチューニングされた私の耳は、アイサのちょっとしたぐずり声にも敏感に反応してしまい、昼も夜もあまり眠れなくなりました。
しかも折悪しく、アイサが鼻カゼをひいてしまいました。鼻の片方だけ詰まっていたので、かろうじて鼻で息ができる状態ですが(ちなみに、生後間もない赤ちゃんは口で息ができません)、おっぱいを飲むのが大変。一気にたくさん飲めないので、少しずつ休憩をしながら飲みます。その間にオムツを代えて...とかしていると耐久4時間以上授乳することに。
生後間もない赤ちゃんはママのホルモン分泌の多い夕方から夜にかけて一番活動的になるとのこと。っていうことで、夕ご飯は授乳しながら片手で食べる日々。

ナイアガラの滝を誇っていたおっぱい山がついに枯渇の危機に!産後初めての食糧危機です。
私は体がとても疲れると、熱がぶわーっと出て、丸一日寝込むと翌日元通りになるという変な癖(?)があります。
食料危機に陥って弱気になったのか、間接が痛むなどの熱が出る前兆が。
「どうしよー。具合が悪いです。熱が出るかも。おっぱいが出なくなるかも〜!」とマーティーとマーティーママの前でパニクる私。
おっぱい山を枯渇させてはならん!と一家総出で食料危機に取り組むことに。
とりあえず粉ミルクでミルクを作り、消毒した哺乳瓶に詰めて緊急時のバックアップを準備。
「大丈夫。熱が出てもお乳はでるから!足りなくなっても粉ミルクがあるし!」とマーティーママに励ましてもらい、「とりあえずご飯を食べてお水を飲んで横になりなさい。授乳だけしてればいいから。後は全部私がやるから。」と力強いお言葉。
「僕は今日疲れてるから、とりあえず2-3時間仮眠してから、なんかできることがあれば手伝うよ」という超マイペースなマーティー。(←いやでも、アナタの判断は非常に合理的です)
夜通しでマーティーママがアイサを預かってくれ、お腹が空いたよ〜コールの時だけ私のベッドまでアイサを抱いて連れてきてくれました。いったん授乳が終わるまでベッドに座って待っててくれて、授乳が一息つくとさっとアイサを抱いてげっぷをさせたりオムツを代えてくれたり。その間に私はできる限り休息。疲れていたので短時間でも眠れましたが、眠れなくても目をつぶって体をリラックスさせてとにかく休息。
マーティーママの夜通しのサポートのおかげで、おっぱい山はなんとか枯渇せずにすみ、哺乳瓶を使うこともなく、私は産後初めて分眠とはいえ夜7時間も眠れました。

翌日は大分元気になり、おっぱい山も春のうららの隅田川くらいには回復しました。とはいっても、アイサがハングリー期で鼻づまりなのには変わりなく、食料危機も完全に回避したとはいえないのです。
ということで、とにかく授乳と休息に没頭することに決めました。日本のお母様の言いつけを守り(ちょっと遅いけど)、ブログも書かず、検診などに行くとき以外は外にも出ず、訪問客もできるだけ呼ばないようにし、とにかく食べて水分をたくさんとって寝ることに。授乳が終わったらすぐに次の授乳に備えて食べて寝る。おっぱいのハリ具合から次の授乳が何時間後くらいか割り出し、「よし、あと一時間は眠れる」などと睡眠時間を計算。ご飯もできるだけ高タンパク高カロリーのものを食べるように(日本だと乳腺が詰まるという理由で避けられるものが、こちらでは奨励されてたりします)。生まれて初めての高カロリーダイエット。
ただ食っちゃ寝てるだけなのにアスリートなみの体調管理で「なんとしてもアイサを食料危機に陥らせちゃぁならん!」とママはがんばりましたよ。

危機に陥ってからちょうど3日目にすっかり回復!ナイアガラの滝もパワーアップ。休息って大事だなぁーとしみじみ思いました。アイサの鼻かぜもほぼ完治です。アイサのおかげで私も術後の回復がちゃんとできたかも。
マーティーママ、マーティー、アイサちゃん、ありがとう♥



天使と閻魔大王