Wednesday 27 March 2013

十人十色

朝起きてから夜寝るまで、基本はハッピーな愛彩。赤ちゃんはみんな、健康でお腹がいっぱいだったらそうなんだと思っていたのですが、いろんな赤ちゃんに会っていくうちに、それぞれ全然違うんだなぁと思い直しました。

最近知り合った愛彩とほぼ同い年のダヴィンくんは、すでに世を憂えている感じ。他の赤ちゃんには見向きもせず、大人しか相手にしません。ダヴィンくんに「いない、いない、ばぁ〜」とか子供っぽいことをすると、冷たーい視線をあびるか、「フッ、しょうがねえなぁ」的な失笑をかいます。ご両親がアイルランド人なのもあり、高度なジョークをポーカーフェイスで言うような子供になりそうな予感です。(アイルランドは世界の大阪。おもしろい人がとんでもなく多く、みなさんジョークのレベルが高いです。)

これから5年後、もしダヴィンくんと愛彩が同じクラスルームにいたら...。
ダヴィン君:
「ビッグベンがまだスモールだったころにさ...」
愛彩:
「ビッグベンって小さかったの?」
ダヴィン君:
「当たり前じゃんか。最初からあんなに大きいわけないだろ。」
愛彩:
「そ、そうか、そうだよね。ダヴィン君は頭いいなぁー。」

みたいな会話がかわされるのではないかと。(高度かどうかは別として。)

愛彩がもう少し大きくなったら、いろいろ嘘ついて反応を見てみたいです。
「奈良の大仏さんって体が大きいから、人通りが少ない夜しかお寺から出られないじゃない?」
なんて、さも普通のことのように話すと、「え、奈良の大仏さんは夜に歩き回るんだ」と心の中で驚きつつも「う、うん」と知ったかぶりをして神妙にうなずいたりするのかなぁ。などと想像すると楽しいです。今からいろいろネタ考えておこう(←ひどい)。

さて、生まれたときから世を憂えているダヴィン君ですが、よく泣くし夜中に何回も起きるしで、お母さんは連日睡眠不足。でも、そんなダヴィンくん「が」心からかわいくてしかたない様子のお母さんを見てると、愛って美しいなと思います。みんな違ってみんないいのだ。


Tuesday 26 March 2013

おかあさ〜ん!

マーティーに愛彩をあずけてマッサージへ。予約が夕方遅くにしか取れず、帰ってくるころには愛彩のベッドタイムというタイミング。夜の寝かしつけはいつも私がやっているので大丈夫かなぁと思いましたが、だめだったら私が帰ってから寝かしつけてもいいし、愛彩はマーティー大好きだし、大丈夫だろう!と行ってきました。

通常80ポンドのところを30ポンドでやってもらえるというバーゲン・マッサージは、案の定ハズレで、油が変な匂いするし部屋は寒いしでかーなーりー残念な結果に。数週間も楽しみにしてたのになぁ。マッサージ中もずーっと「お家のふたりは大丈夫かなぁ」とぼんやり思っていました。

さて、家に帰ってみると...。玄関のドアを開けたとたん「ううわぁ〜!!」という愛彩の泣き声が聞こえてきました。家に入ってベッドルームのドアを開けると、愛彩を抱っこしたマーティーとさっきまで泣いていた愛彩が、ふたりそろって同じ顔で私のほうを見ました。眉毛がハの字で鼻水足れそうな顔。きっとさっきまで二人そろって途方に暮れてたんだろうなぁー。私が帰ってきて「あぁー、やっと帰ってきた!」と思ったんだろうなぁー。という顔でした。

私が寝かしつけると、疲れていた愛彩は15分くらいでスヤスヤと夢の世界に行きました。

今まで、こんなに誰かに必要とされたことなんてありませんでした。「ああ、私じゃないとだめなのね♡」てめっちゃ快感〜!
仕事なんかだと、私の代わりはいくらでもいます。でも、愛彩にとってお母さんは私だけ。オンリー・ワン。たまらーん!!

二人にはかわいそうだったけど、私はしばらくニヤニヤ笑いが止まりませんでした。赤ちゃんから言われるオンリー・ユーは、恋人から言われるオンリー・ユーよりもずっと真剣です。んふ、たまらーん。


Sunday 24 March 2013

パートナーのお仕事


イギリスの「当然こうあるべき」というイクメン像は、

産後直後は育児休暇を取り、弱っているママの看護と家事全部をやる。
積極的に育児に参加し、もちろんオムツかえなども率先してやる。
母乳の場合、最初の数週間はママに三度のご飯とスナックを用意する。(授乳が長くかかる場合やママが弱っているときは口まで運ぶ)。
ミルクや混合授乳の場合は夜の授乳を交代でやる。
仕事に戻った後も、ママが寝不足なようならできるだけ家事は自分がやる。
疲れているママにマッサージをしてあげる。
週末はママが「自分の時間」がもてるように半日〜丸一日は赤ちゃんを一人でみる。

と、なかなか要求されるレベルが高いように思われます。「理想のイクメン」じゃなくて「当然でしょ!」ていうレベルがこれですからね。出産前のクラスでも、助産師さんから「パートナーのみなさん、出産から回復するまでしっかりママの看護をしてくださいね。産後直後はママの言うことがどんなに理不尽でも全部聞いてあげてくださいね!」というアドバイスがありました。里帰りをするママはまれで、1−2週間ほどご両親がヘルプにきてくれるところが大半ですが、基本はカップルでやっていくところが多いロンドン。パートナーの役割はとても大きいのです。

とはいえ、「男女平等が進んでいるロンドンだし、こんなイクメンばかりに違いない」と思っていたら全くそんなことはなく...。ロンドンのママ会などではいかに自分のパートナーが役に立たたない薄情者か、よく話題になります。そんなロンドンママたちの心の叫びを聞いていると、気配りや几帳面さでいえば、日本の最近のイクメンのほうがよっぽどレベルが高いかも?と思ったりもします。

「育児休暇中なのにホリデーと勘違いして、ほっておくと毎日昼過ぎまで寝てるから、毎朝たたき起こしてたわよ」
「彼は料理ができないからいつも私が料理してたんだけど、出産直後はさすがに料理してくれるだろうと思ってたら、『僕のぶんの夕飯は心配いらないよ。適当にすませるから』て笑顔で言われて愕然としたわ」
「子供と遊んでてウ◯チの音がしたら『ウ◯チしたよ』て子供を手渡そうとするから、『そうなの?』て笑顔で押し返したわ」
などなど、「それはひどい」と思うような話や身に覚えのある話まで、この手の話はつきることがありません。どこの国でも旦那の悪口大会は盛り上がるんだナーと新鮮な驚きがありました。
もちろん、絵に描いたような理想のイクメンの話も耳にしますが、大半のパートナーが「当然こうあるべき」イクメン像とはほど遠いようです。男女平等が進んでいる(印象のある)イギリスでも、私が知っている限り、家事や育児のリーダーシップをとるのは女性だというカップルがほとんど。パパもママも育児休暇中で、ママは授乳でほぼ24時間赤ちゃんにつきっきりという時でも、ウンチのついた洗濯物はママがやるかママがキレるまで放置されるのが、「ふつう」のカップル事情のように思われます。

いろんなママたちの話を聞いているうちに、「当然こうあるべき」といわれているイクメンなんてイギリスにもあんまりいないんだ、と残念に思ったけどなんだか安心もしました。かといって、ママが不満や不公平感を無理やり押しこめるのも不健康。せっかくがんばってきたフェミニストの方々も報われません。不満をちょこちょこと小出しにすると、セクシーでラブリーな新妻(自称)がガミガミ母ちゃんに豹変。ピンク色の新婚生活がだんだん黄ばんでいきますし、不満を溜めて爆発させるとえらい騒ぎになりかねません。自分の気持ちに嘘をつかずに桃色のアモーレな結婚生活を維持していくにはどうしたらいいのか、けっこう真剣に考えてみました。というのも、愛彩が生まれてから何度か「えらい騒ぎ」を経験しまして...(←遠い目)。マーティーとは10年以上の付き合いになりますが、「ああ、はらわたが煮えてもつ鍋になってしまう〜!」と思うほどキレたのは愛彩が生まれて初めてでした。

そこで編み出したのが「夫は火星人だと思おう」作戦。男は火星人女は金星人というベストセラーのタイトルにヒントを得た作戦ですが、私の場合、女は地球人で男は地球の習慣を理解していない火星人という設定にしているので、上から目線です。フフフ。

例えば、オムツをかえてくれたのはいいけど汚れたオムツはそのままペロンと床に放置。バスルームには丸まった靴下とパンツが、ベッドルームにはズボンとシャツが、キッチンには開けたままのチーズやパンの袋などなどが放置。愛彩が生まれる前はなんとも思わずに片付けていましたが、連日寝不足が続いてヘトヘトになっているときに、空き巣に入られた後のようなバスルームに足を踏み入れると「ここを私に片付けろと?お前はどこの国の王様じゃ〜!わたくしめは貴国の召使いですか?!きぃぃぃぃ〜!」となってしまっていたのです。
そこで「ああ、火星では使ったものは翌日に片付けるのが普通なんだな」と思います。アホみたいですが、これがけっこう効果がありました。
夫は私と違う考え方と習慣を持った人なんだと再認識。ちらかったバスルームは「片付けといてね♡」というメッセージではなく、ただ単に使ったものをすぐにしまうという習慣がないだけ。もし私が片付けなければ本人はそれで気にならないし、気になったら自分で片付けるんだということがわかりました。
それまで、「やる気や思いやりがないから」「家事は女の仕事だと思っているから」やってるんだと思っていた行動も、「火星ではそういう習慣だから」だと気づくと怒ることもなくなりました。

火星ではお鍋の外側を洗う習慣はないし、シェービングクリームなどのフタは開けたままにしておくし、靴は何足かリビングに放っておくのが普通なようです。
火星の異文化にふれてびっくりしたり「ちょっと困るなぁ」と思ったとき、地球人にはふたつの選択があります。異文化を受け入れて自分でなんとかするか、火星人と交渉をしてみるという選択です。幸運なことに火星の公用語の一つは英語なので、言葉は通じます。「言わなくてもわかってほしい」なんて思うのは百害あって一利無し。交渉は礼儀正しく、辛抱強く、かつ巧妙にしなくてはいけません。間違っても火星人は常識がないなんて思ってはいけません。地球と火星では常識が違うだけです。
火星人が自分の習慣を変えてくれたり、変えようと努力をしてくれたら、それがどんなに世間で「当然」だと思われていることでも、感謝しなくてはいけません。誰にとっても習慣を変えるのはとっても大変なことなので。

そういう私も引っ越してからずーっと「この黒くて四角い物体はなんだろう」と思っていたものをマーティーに「この黒い箱みたいなの、かさばるから屋根裏に置いてもいい?」と聞いたら、「それ、スピーカーだけど...。」とびっくりされたことがあります。私だって夫からみたら火星人なのかもしれません。

我が家の火星人の困った習慣を暴露してしまいましたが、我が家の火星人は愛彩にメロメロで面倒をよくみてくれるし、いいところもたくさんあります。先日マーティーが愛彩をみながら、「愛彩が生まれるまでは、この世にあるハッピーの総量がちょっとだけ少なかったんだよね」と言ってるのを聞いて、ちょっぴり惚れ直しモーメントでした。

これからもよろしく。




Friday 15 March 2013

今度はおフランス式

French Children Don't Throw Food (直訳するとフランス人の子供は食べ物を投げない)という本を読んでいます。マーティーから「また育児書?」とあきれられていますが、こんなに育児書を読みたいと思う時期もきっとすぐに過ぎ去ると思うので、興味のおもむくままに読んでいます。

Buddhism for Mothers(母親のための仏教)を読んでいたころは、「私、仏教徒になろうかな」と近所の瞑想のクラスを物色までしていた私が、今度は「フランス式でいくよ!」と張り切っているので、ますますあきれられています。いいのだ。これでいいのだー。

French Children Don't Throw Food は、パリに住んでいるアメリカ人の女性が書いた本です。母親でもある著者がアメリカやイギリスの子供に比べて、フランス人の子供のほうがずいぶんとマナーがよく、親も子供に振り回されずに人生を楽しんでいる様子を見て「どんな秘訣があるの?」と探っていく本です。実体験とリサーチを元に面白く書かれています。

このブログでフランス式の子育てについてちらりと言及したことがありましたが、すみません、全面撤回いたします。私がまちがっていたよ。なんにもわかっていなかったよ。(←あきれられるほど影響を受けやすい31歳)。子供と添い寝をするのが当たり前の日本と、まだ赤ちゃんのころから子供部屋に一人で寝せるのが一般的なフランス。「フランス人のママだって、赤ちゃんが生まれたすぐは、添い寝のほうが楽なのに〜と思うんじゃないかな」と前回のブログで書きましたが。そんなことはないようです(本によりますとね)。フランスでは、出産後の一週間は病院に滞在するのが普通で、母親が眠っている間は看護師さんが赤ちゃんをあずかってくれるんですと!母乳で育てている人には、授乳のたびに看護師さんが赤ちゃんを病室まで連れてきてくれるけど、ミルクを飲んでいる赤ちゃんだったら一晩中あずかってくれるんですと!(読み進めていくうちに、病院によってサービスに雲泥の差があることが分かりました。どこの病院でもそうしてくれるわけではないようです。)しかも、早くは生後6週間目から、遅くても生後6ヶ月になるころには、ほとんどの赤ちゃんが夜8−12時間通して眠れるようになるんですと!夜中の授乳は正直いってめんどうくさいなと思ったことのあるママなら「どうして?秘訣は?」と思うでしょう。

秘訣は本に書いてあったんですが、これが驚くほどわたくしのお母様が言ってたことと同じでびっくりしました。私のお母ちゃんが図らずしてフランス式だったとは灯台下暗しですたい。(添い寝のこととか違うところもいっぱいあるんですけど)
フランス人ママと私の母が一貫して言っていることは「子供に干渉しすぎないほうがいい」「赤ちゃんだって、こっちが言ってることはちゃんと理解している」というふたつ。
赤ちゃんが泣いたりぐずったりしたら、パニックになって抱き上げるのではなくて数秒待ってみる。子供自身がどう反応するか観察する。子供が自分でなんとかする力を信じてあげる。この「数秒(時には数分)待つ」というのがフランスではとっても大事だと思われているらしいです。そして、赤ちゃんだってこっちが言っていることが理解できると信じて真剣に説得してみる。私が尊敬する黒柳徹子さんも「赤ちゃんや動物も、こっちが真剣に言っていることは絶対にわかってくれます」と言っていて、私もそれを信じています。往々にして「説得」に応じてくれない愛彩ですが(笑)。
私の母はよく「ほっといていいのよ」と言っていましたが、この本によれば「子供に自分自身で学ぶ機会と自由とプライバシーを与えてあげる」のがフランス式とあります。ふむ、言っていることは同じだけど後者のほうが聞こえがいいっす。

確かに、ロンドンのママ会で出会うママの中には「子供の面倒を見るのが大変で、家事をするどころかお茶一杯も飲めない」と疲れた顔で言っているママもいます。心の中で「お茶の一杯くらい、子供をほっといて飲んでも大丈夫なんじゃないかなー。」と思います。興味深いことに、日本人ママ会のママでそんなことを言っているママにはまだ会っていません。いろんな事情があってロンドンで乳幼児を育てているたくましいママたちだからかもしれませんが、日本も「子供に干渉しすぎるのはよくない」と思う人が多いんでしょうかね。

フランス式、まねしたくないところもありますが、勉強になるなぁと思うところもたくさん。ちょっと試してみるつもりですが、愛彩が食べ物を投げない子供になるようになるかどうかはまだまだわかりません。


Tuesday 12 March 2013

母の日

イギリスでは母の日は3月の第一日曜日です。今年は3月10日でした。生後4ヶ月の娘からまさかプレゼントをもらうなんて思いませんでしたが、うさぎちゃんのかわいい小皿をもらいました。マーティーいわく、彼はなにも関与していないそうです。ふふ。






ほんの9日前に赤ちゃんが生まれた友人カップル(サム&ケイト)に会いに行きました。ご近所さんで私たちのアパートから徒歩でほんの15分くらいのところに住んでいます。ケイトは妊娠39週間目というタイミングで足の骨を骨折してしまい、マーティーと私をはじめ、ご近所仲間みんなで心配していました。子供が生まれたら大変だろうからみんなで助け合おうね!と言い合っていました。

マーティーと私は先輩風をふかして、「最初の数週間は眠れないだろうし、ケイトが動けないとサムがまいってしまうかもしれないね。お掃除と料理くらいならできるから手伝いにいくよ。マーティーが仕事帰りによって、2時間くらいなら赤ちゃんの面倒をみたりできるし。息抜きになるよ」なんて言っていました。
ところが!出産のその時から今にいたるまで、二人の生活は一分一秒がバラ色のようなのです。私たちの手伝いなんてなーんにもいらないようでした。

まず、出産はどうだったか聞くと、48時間もかかったらしいです。ケイトは一種の自己催眠療法で痛みをコントロールしていたらしいのですが、「ペチジンでもエピジュールでも痛かったらなんでも打ってもらおうと思ってたんだけど、けっきょく笑気ガスだけだったよ。痛いのはもう忘れちゃった。ははは〜」と笑顔。丸二日もかかった出産だったのに、二人とも「よかったよ〜。すっごく感動した。他に言いようがない」と言います。痛かったり疲れたりしたことも全部ふくめて、ネガティブだったことなんてなにもなかったみたいに。この時点でええ〜!とびっくりな私。

出産後は?というと、赤ちゃんが良く眠ってくれて授乳も順調。二人ともよく眠れていて、赤ちゃんにメロメロで、毎日がただただ楽しくてしかたがない様子。
サムもケイトも産休中なのですが「仕事戻りたくな〜い。ずっとこのままの生活が送れるにはどうしたらいいか考案中。宝くじでも当たらないかなー」と言っています。サムはあんまり料理ができない男性だったけど、骨折したケイトのために喜々として家事全般をこなし、娘のオムツかえはサッカーの観戦よりも楽しそうです。ケイトもケイトでサムにラブラブ光線を始終放っていて、ふたりとも針でつついたらパーンと幸せで弾け飛んでしまいそうです。

私とマーティーなんて、お互いに対する怒りのあまり、沸騰した血が鼻からブーっと吹き出るんじゃないかと思ったことが何度もあったのに...!二人が私よりも先に子供を生んでたら参考にしたのになぁー。マーティーにも「サムを見習って!」と言えたのになぁ。いや、そしたらもっとケンカになってたかな(笑)。
なにより、二人が一分一秒を愛おしむように過ごしている姿に感銘を受けました。

出産前に「産後は大変だ」といろーんな人から言われていたのですが、そのおかげで心の準備ができていた反面、無意識に「大変じゃないといけない」と思いこんで、自ら大変さを作り出していた面もあったんじゃないかと思うのです。
また、私は出産ギリギリまで働いていたのですが、仕事がとても忙しくて毎日どうやって時間内に仕事をこなそうか、どうやって効率を上げようか、ということに常に頭を使っていました。産休に入って出産する前も「やったー!自分の時間がたくさん取れる。あれしてこれして。」と忙しく過ごしていました。
その調子で出産後もすぐにお友達を招待したり(しかも毎日毎晩)、ケーキなんて焼いちゃったりして、ちゃんと休養をとらず、ずーっとバタバタして過ごしました。

愛彩が3ヶ月になるころに、ハタと、「ベビーヨガもママ会も行きたくなかったら行かなくていいんだ。掃除も料理もお洗濯も一日くらいサボってもいいんだ。今日絶対やらないといけないことは、愛彩におっぱいをあげてオムツを代えてあげるだけ」ということに気づきました(遅!)。そしてケイトとサムの楽しそうな姿を見て、バカだったなぁー私!と心から思ったのです。あんなにがんばらなきゃよかった!なんであんなにバタバタとがんばってたんだろう。せっかくのんびりできたのに、もっと楽しめばよかった。そしたらマーティーにも愛彩にももっと優しくできたのになぁ。

「時は金なり」なんて言いますが、時は金よりもずっと大切なんじゃないかと思うのです。金は貯めておいて後で使ったりもできますが、時は常に変化していて、今という時間はもう戻ってきません。愛彩は毎朝起きて私を見るとニコーっと笑います。朝起きて新しい一日が始まったことが本当に心の底から嬉しいみたいです。もし愛彩が30年後に、毎朝、月曜日も、こんな顔をして起きていたら、愛彩の職業がなんでも、どんなに貧乏な暮らしをしていても、私は何も言うことはありません。よかったなーと思うだけです。そしてそれは自分自身にも言えます。向上心を持って日々新しいことに挑戦したり、継続してなにか技術を身につけたりするのは、毎日を充実させるという意味でもいいことだと思いますが、もし愛彩が将来のために今を犠牲にしたり、生産性を上げるために人生の楽しみを見失ったりしたら、それはとっても残念なことだと思うのです。そして、愛彩に願うことは、自分に対する願いでもあります。

8月にはパートタイムで仕事に戻る予定で、そうすると今よりも忙しくなります。専業主婦でいられる間は思いっきりのんびりと楽しんで、仕事に戻ってからも心の余裕は失わないようにしたいです。愛彩が大きくなっても、「お母さんは毎日楽しそう」と思ってくれるような自分だったらいいな。理想は「お母さんの人生って気楽で楽しそう」と思ってもらえることかな。がんばってないように見える人に憧れがある私です。


Tuesday 5 March 2013

初めての家族旅行


ケント州にあるディールというところまで家族旅行に行ってきました。ビーチ沿いにあるかわいい町です。


街はかわいかったんですが、海からの風で寒いこと寒いこと!そしてビーチが、灰色 ...。空のどんよりとした灰色とマッチングしてどこまでが空でどこまでが海かわからない。どうせなら「海も空も青くて、海と空の境界がわからなかったわ〜♪」て言いたかった。びゅーびゅー吹きすさぶ潮風に全身を凍えさせながら見た灰色の海。

私:
「こんな悲惨なおもむきのビーチは初めて見たよ...。」
マーティー:
「イギリスのビーチだもん...。」

真冬でしたしね。でも、イギリスのビーチは「まぶしい」か「かなしい」かでいうと、真夏でもどちらかといえば「かなしい」よりです。

ディールの町の昔ながらの細道をお散歩し、町の駄菓子屋さんでおやつを買ったりした後マーティーの友人の家(本人はシンガポールに住んでいていない)へ。夜はお惣菜を買って友人宅で食べました。愛彩が眠った後に、持ってきたパソコンで 「007 スカイフォール」を観ました。地味ですね。家にいるときとあんまりかわらない夜。愛彩がいなかったころは夜はレストランでご飯を食べてその後ワインバーかなんかに行ってたなぁ。でも、ロンドンではない場所で「初めての家族旅行」にワクワクしながら、まったり過ごした夜は楽しかったです。スカイフォールもツッコミどころがありすぎていろんな意味で見応えたっぷりでした。いや〜、面白かった!

次の日はディールのお城に行ってみました。青空も垣間見え、気持ちのいい日でした。もう水が入っていなくて草があおあおと茂っているお堀や、お庭がきれいでした。お城に行くたんびに思うんですが、お城は広くて寒そうで「実はかなり住みにくいかも」と思いました。イギリスでは、こういうお城に本当に住んでいる人たちがいるんですよね〜。お友達に「今日私のお城のパーティーに来ない?」と言えるのはかっこいいですが、来てもらえるのは最初の一回だけで、二回目からは「◯◯ちゃんのお城、寒いし遠いから来たくない」て言われるんじゃないのかなと勝手に想像しています。







ロンドンへ帰る途中に、サンドイッチ村へ。食べ物のサンドイッチを発明した四代目サンドイッチ伯爵が住んでいた村です。ロンドンを出る前から「サンドイッチ村でサンドイッチ食べようね!」と意気込んでいたのですが(←バカップル。主犯は私。)、サンドイッチが食べられそうなカフェなどが見つからず、結局パブでロースト・ターキー(ヨークシャー・プディング付き)を食べました。これが意外ととっても美味しかったです。パブのおばちゃんにめっちゃかわいがわれてた愛彩。パブにはオムツかえ台までありました。イギリスのパブ、週末の昼間は「お酒飲むところ」というより「ファミリーがご飯食べるところ」みたいな雰囲気です。田舎の町には少なくとも一つ、みんなが知ってるパブがあって、その町のオアシスみたいになっています。昔ながらの日本でいうお蕎麦屋さんみたいな感じですかね。

初めての家族旅行は、地味でしたがのんびり楽しく終わりました。夫婦ふたりの時とでは全然ペースが違いますね。愛彩が大きくなるにつれて、また全然ちがう家族旅行になっていくんだろうなあ。

このブログは後でまとめて本にして、愛彩がお母さんになったときか今の私と同い年になった時に渡したいと思っています。愛彩は「私の両親にも若いころがあったんだなぁ。初めての出産、初めての子ども、初めての家族旅行と、なんでも初めてでワクワクしたりしてたんだな。」と不思議な感じで感心するのかなぁ。