Friday 12 April 2013

おとぎ話

愛彩が夜なかなか寝付けないときは、おとぎ話とかつくり話をしてあげたりします。話の内容はともかく、ぼそぼそと静かな口調で話すのを聞くと落ち着くようです。自分も退屈しないですむので、けっこう楽しんでお話をしています。

つくり話は適当にその場ででっちあげているのでいいのですが、おとぎ話はけっこう難題です。最初は調子よく「むかーしむかーしあるところに...」と始められるのですが、途中で「あれ?おじいさんがどうしたんだっけ?」とわからなくなり、「えーと、あれだ。なんかの動物がでてきてさ」とかなり適当に真ん中を流し、結末もグダグダのまま、「めでたし、めでたし」で結びます。あれだけ子供の頃に繰り返し話してもらったり読んでもらったりしたのに、意外と忘れてしまうものですね〜。

昨日の夜は、浦島太郎の話をしました。この話はけっこうちゃんと覚えていました。話しているうちに「で、浦島がさぁ」とか「ブスだけどナイスボディーなひらめのダンサーたちがね」とか、登場人物が頭の中で脚色されてオトモダチ化されていきます。そして結末。「浦島が玉手箱を開けるとけむりがモクモクとでてきて、浦島はたちまちおじいさんになってしまいました」

「めでたしめでたし」って、全然めでたくないぞ。浦島はその後どうなったの?海から帰ってみれば、家もない。知っている人もいない。優しいところがあるけど、ぼーっとしてて要領が悪くて、漁師としての腕も大してよくない、むっつりスケベの浦島が(私の頭の中ではそういうキャラです)サバイバル系だとは思えません。家も身寄りも手に職もなくて、タイムスリップしてるから世間知もなくて、体力もなくなってしまったおじいさんが、これからどうすればいいんでしょう。悲嘆にくれて入水?乞食になって餓死?考えれば考えるほど、「老人の悲惨な孤独死」のシナリオしかうかんできません。

気になったので、もちろんググってみましたさ。このサイトによれば、万葉集ではおじいさんはそのまま死ぬことになっているらしいです。チーン。それからずっと後の室町時代に編集された御伽草子の中では、おじいさんは鶴になって長生きしてめでたしめでたしだそうです。大衆の気持ちを考慮しての編集だったんですかね。おとぎ話は夢がないとね。

現代に書かれた子供用の絵本がハートウォーミングだったり、ほろりとするいい話だったりする中、桃太郎とかカチカチ山とか、昔話しはどれもシビアだったり残酷だったりしますね。昔は怪我や病気や死がもっと身近なものだったからかもしれませんね。現代に生まれてとりあえずはよかったかも。めでたしめでたし。


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